ランチによく通ってたカレー屋さんが閉店した。
閉店といっても閑古鳥が鳴いてつぶれたワケではなく、今の場所では一度お店を閉めて、よその街に移転するらしい。
その店のカレーソースは鶏のブイヨンでカレーベースを伸ばしたと思われるタイプで、シャバっとしてるのに中濃ソースかってくらいドシっとしたコクがあった。
中に溶け込んだトマトの風味と玉ネギと野菜の甘さ、あとからじわじわ効いてくるスパイスの風味が絶妙なバランスだった。欧風カレー系でもインド系カレーでもない。日本人が好きなチキンカレーを実直に作りこんだような、そんなカレー。
基本のカレーは500円で具は手羽者1本のみというシンプルさ。このカレーにジューシーなチキンカツ(150円)をトッピングするのが好きだった。大きくて衣がサクサクで美味かった。
安くてごはんの量もたっぷりでチェーン店のカレー屋にはない魅力があったんだよな。毎週食べたいが、しばらくは食べられない。移転しても遠くなるから、なかなか食べられない。
悲しい。
なので自分で作ってみることにした。
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レシピを考える。
お店のテーブルに置いてあったメニューには、
「当店のカレーは、20種以上のスパイスを焙煎し、国産骨付き鶏、香味野菜、たっぷりのトマト、果実を使ってゆっくり煮込んだ自家製カレーです」
というような説明書きがあったので、この情報を元に材料を揃えよう。
まずはスパイス。
カレーと言えばスパイス。大事なポイントだ。
しかし正直どんなスパイスを揃えればよいか検討がつかない。お店のように「20種以上」も揃えて、それらをいい具合にブレンドするのは至難の技だ。スパイス沼に素人が手を出すとやけどする。
ということで、市販のカレー粉に頼ることにした。
手始めに家の冷蔵庫に眠っていた「インデラ・カレー」の中身をチェック。
タモリさんも愛用してるといわれるカレー粉だ。
<インデラカレー粉の中身>
ターメリック
コリアンダー
チンピ
クミン
フェヌグリーク
ナツメグ
シンナモン
フェンネル
赤唐辛子
ジンジャー
クローブ
スターアニス
カルダモン
甘草
ブラックペッパー
これで、15種。
残り5種類以上そろえればよい。大久保あたりの専門店に足をのばせばすぐに揃いそうだ。
しかしめんどくさいので近所のスーパーへ。
すると高そうなカレー粉が見切り品で安く売ってるのを発見。
こいつは「アショカ」という老舗のカレー屋(行ったことない)がプロデュースするカレー粉らしい。
なんかフタの部分がムダに重厚感があってデカいし、香り高いスパイスとかふんだんに使ってそうだ。これを合わせ技で使えば足りない5種類位はカバーできるだろ、とよく見ずに購入。
家に帰って早速インデラ・カレーと見比べながら中身を調べる。
<アショカカレー粉の中身>
クミン
ウコン(=ターメリック)
コリアンダー
シナモン
スタ―アニス
フェンネル
キャラウェイ
クローブ
ローレル
ナツトメグ(=ナツメグ)
カルダモン
ブラックペッパー
メース
チリパウダー(=赤唐辛子)
インデラさんと被ってないスパイスは3種(赤字)と意外に少ない。期待とは裏ハラ系。
これで計18種かー。20種には足りない・・・
が、まあ良しとしよう。
スパイスは多けりゃいいってもんじゃない。
カレーの専門書に基本の4種(クミン、コリアンダー、ターメリック、チリパウダー)でも十分という記述を見かけたことあるしな。足るを知るってのも大事なんだぜ。(負け惜しみ)
大切なのは愛だぜ、愛。
ということで足りない分のスパイスは愛と気合いでカバーする。
続いてスパイス以外の材料を検討。
「国産骨付き鶏」はお店の具にも使われていた手羽元でいいだろう。
「香味野菜、たっぷりのトマト、果実」は直感で適当に揃えた。
写真は多めだが実際に使った量はこんな感じ。
玉ネギ 小さ目を5個
ホールトマト缶 1缶
ニンジン 1本
ジャガイモ 小3個
セロリ 1本
ブラウンマッシュルーム 1パック
ショウガ 2カケ
ニンニク 2かけ
リンゴ 1/2個
以前も野菜だけでカレーを作ったことがあるが、あの時はもっといろいろ使ってごちゃごちゃした味になっちゃった記憶がある。なので今回は種類は絞ってシンプルにした。足るを知るだぜ。マジカルたるるーと君だぜ。
マッシュルームは旨味を凝縮させるためあらかじめ数時間ほど冷凍庫にいれて半冷凍状態にしておく。お店のカレーにブラウンマッシュルームは入ってない気がするが、入れたら多分うまいので入れる。
果物は桃とかマンゴーとか入れたら甘味が加わってよさげだけど材料費が高くなるから無し。
もしかするとヨーグルトも入ってるかもしれないが今回はなしで。
これらの野菜・果物は具をゴロゴロさせないシャバっとしたカレーにするので原型を残さず、フードプロセッサーで粉砕しペースト状にして使う。
ただし、たまねぎ、マッシュルーム、トマトは炒めて甘さと香ばしさを出してから粉砕しよう。
さて、調理に入っていこう。
まずはスープを準備する。
手羽元12本。これで800gくらい。水から煮込んでスープをとる。
鍋に入れ約1.2リットルの水をはり、火にかける。
アクが出てくるので取る。
その後、臭み消しにネギの青い部分とニンニクをひとかけ投入。
あとは弱火でフツフツと2時間。
鶏を煮込んでいる鍋の隣で野菜類をやっつけていく。
鍋に大さじ3のサラダ油をひき、戸棚に眠っていたクミンシード小さじ1とクローブ5粒を熱する。ほんとはもっとホールスパイスを放り込みたい所だが、妻と息子はトゥーマッチスパイシーなのが苦手なため、泣く泣く控えめに。
ふわーっとスパイスが香ってきたら、みじん切りにした玉ねぎ5個分を投入。
塩を2つまみ投入し、時々返しながら強火でゴリゴリいためる。
コゲそうになったら水を少しさす。
20分くらい炒めてこれくらいに量が減って飴色になったらOK。
次に冷凍していたマッシュルーム1パックをみじんぎりにして、
玉ネギを炒めていた鍋に投入。塩1つまみ入れ、一緒に炒めていく。
続いてトマト缶もぶちこむ、また塩を1つまみ。中火で炒めていく。
トマトの水分が飛んで赤色が茶色になって、ドロっとしたらOK。
フードプロセッサーに移し、手羽元スープを少し足して、ギュイーーーンと粉砕。
ペースト状になった。
ペロッとなめる。何かわからんがすでにうまい。
続いてほかの野菜類もやっつけよう。
左上から時計回りにニンジン、リンゴ、ニンニク、ショウガ、セロリ、ジャガイモ。
フードプロセッサーで砕きやすいよう小さくカットしておく。
スープを少し足してギュイーンと同じくペースト状に。
期待してペロっとなめると青くせえ。
こいつは火を入れないとまずい。鍋に投入。
次に2時間ほどクツクツ炊いて、鶏油が浮いたいい感じの手羽元スープ。
こいつも鶏ごとすべて投入。
続いてカレー粉と調味料。
インデラ―カレー粉大さじ4、アショカカレー粉大さじ4、ローリエ1枚、しょうゆ、ケチャップ、塩少し。
カレー粉はフライパンで炒めてから入れるべきだったが忘れてしまった。
軽くまぜてから、煮込んでいく。
味見しながら、塩とカレー粉で味を調える。
ぼやっとした味だったので固形コンソメ1つ投入。
カレーは2時間程煮込んで完成とした。
これで終わりではない。
お店で頼むのはもっぱらチキンカツをトッピングしたカツカレーだった。
再現するならカツを揚げなければならない。
チキンカツでもいいが、せっかくだからメニューにはなかった豚のロースカツで行ってみよう。1回この組み合わせで食べてみたかったんだ。
豚ロースはスジを切り、包丁の背で叩いて広げて、塩コショウ。
卵、小麦粉、牛乳、塩コショウでドロっとした液体を作る。これが衣になる
衣、パン粉を付けて、
180℃の油でジュンジュワー。
キツネ色に揚がったらよろし。
時はきたり。
アツアツをサクサクッと切り、
カレーライスのごはんに乗せたら完成、ドーン。
そうそう、こんな感じだ。
手羽元を煮すぎて崩れかけのレイディオだが、ビジュアルはなかなか近い。
まずはカツから。
カレーにちょっとつけてパクリ。
サクッとジューシーで、うんまー。豚ロースいいじゃない。
鶏はホロホロがすぎた。
スプーンを向けると、お前はもう崩れている。
今回は計4時間くらい煮たが、3時間くらいて止めるのがよさげ。
カレーソースなかなかいい具合に見えたが、お店のに比べると少し甘いなー。
あとスパイスが弱めでマイルド過ぎる。嫁と子供向けにだいぶ抑えたが、もうちょっとクローブあたりのスパイスをゴリっときかせて、カイエンペッパーを足すとお店に近くなるかも。
それからコクというか深みも足りないなー。煮込みが足りんのか、材料が違うのか。
中濃ソースに入ってるデーツとか加えるとそれっぽくなるのかなーとか。
再現度という意味では課題は多いが、コピー1発目にしてはわりと美味しくできて満足満足。
カレーは奥が深い。楽しい。またリベンジしたい。
お粗末様でした。
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