奥多摩ワサビを堪能した
「生ワサビ」をいただいた。
くれたのは前にも鮎をくれたまっさんという友人だ。
まっさんはいま趣味で田んぼを耕しワサビを育てている。
田んぼ東京の最西端、奥多摩の山奥にあるらしい。なんでも奥多摩は江戸時代から続くワサビの産地なんだそう。知らなかった。
1週間に数回、まっさんは1時間ほど山を登ってワサビ田のメンテナンスをしているそうだ。そしてワサビは品種にもよるが苗を植えてから収穫まで1~2年はかかるという。手のかかる野菜だ。
そんな手間ひまをかけて育てられたワサビを1本いただいた。大事に食べよう。
これがそのワサビだ。
一言にワサビといっても様々な品種があるそうで、今回いただいたのは本わさびの「正緑」(まさみどり)という品種。
大量の葉っぱがわさわさと生えててラピュタみたいだ。
この葉っぱと茎も下処理をするとおいしく食べられるらしい。そのやり方をまっさんに教わったのでやっていく。
まずは葉っぱと根っこのワサビ本体を分ける。
葉と茎。
これはわさび本体の根っこ。
茎側(右上)より根っこ側のほうが辛みが強いそうだ。
葉はこんな形をしている。はぁと。
先端には小さいつぼみがついていて可憐な白い花が一輪咲いていた。
部位別に食感や味を確かめたかったので葉と茎に分別。茎は2~3cmと5cmの2種類にカット。
80度のお湯に20秒くぐらせて、
塩をざっとかけて塩もみ。
これで下処理は完了。
密閉容器につめて空気に当たらない状態で2日ほど保管しておくと辛み成分がじわじわ出てくるという。
たのしみ~
って2日も我慢できない。
翌日のお昼には瓶の蓋を開けて食べちゃいました。
まずはワサビ丼を作りました。
「この食べ方が一番うまいかも」とまっさんが言ってたやつ。
炊き立ての白飯にすりおろしたワサビと葉ワサビ、そして鰹節、生卵をドカンとマウント。仕上げにしょうゆをひとまわしパラリとかけて、ご飯と一緒にワサビをほうばる。
新鮮なワサビの香りがサーっと鼻に抜ける。なんじゃこりゃ、うまい!
香りが鮮烈でまるで森を食べているような。目を閉じると私はいま奥多摩の森の奥にいます。そんな気分だ。(意味不明)
すりおろしたワサビ自体の辛さはピリッという程度で強くない。意外。辛さよりも香りのインパクトが強いことにびっくりした。
奥多摩ワサビのポテンシャルをストレートに堪能できる一杯でした。
お次は、
大好きなマイワシと一緒に楽しみましょう。
刺身に擦ったワサビをのせていただきます。
イワシの脂ノリノリマサノリとさわやかなワサビの風味が合う~
身の切れっ端とワサビの茎を刻んでネギ生姜と叩いてなめろう風にしたのもおいしかった(左側のやつ)
お次は塩焼き。香ばしいイワシの脂が爽やかになる。これも滋味深く美味い。
こういうシンプルな料理こそワサビがダイレクトに活きる。
妻が焼いたヒレステーキにもあわせてみた。
シンプルに塩コショウとワサビで。
これも最高。優勝。家族みんなが美味いと満票でございました。
イワシに並ぶおいしい大衆魚の番長、アジを買ってきた。
アジ刺しに。
くう、間違いねえ!酒が進む。
スパゲティにもいれてみるか。
ある日の昼飯。タラと葉わさびのクリームスパ。
これもうめえ。
ある日の昼飯。葉わさびと脂マサノリの鮭のハラミでスパ。
脂っぽい食材とあわせるとワサビのよさが活きる。
どちらかといえば高級食材のワサビをカジュアルにスパゲティにあわせるのもアリだな。香りのよさで料理がワンランクアップする。
今日は葉わさびのストックがなくなったので、根っこの本体部分を多めに擦ってスパゲティに使ってみた。これはかなり贅沢な使い方である。
スーパーでごまさばをゲット。
塩をして臭みを抜いてから、オリーブオイルとニンニクと一緒に焼いていく。
サバに焼き色が付いたら、冷蔵庫に余ってたマッシュルームとネギをてきとうに切って隣で焼いていく。
いい感じに焼き色がついたらスパゲティの煮汁を入れて、隠し味でチューブのアンチョビペーストを少量加える。
ちょいと煮詰めたら塩でソースの味をざっくり決めておく。
麺がゆであがる直前に火を止めて、醤油をひとまわししてバターとすりおろしたワサビの半量を加え、麺とざっとあえたら完成。
ワサビはスパゲティが茹で上がる直前にすりおろした。(鮫肌おろしがほしい)
ちなみに本ワサビは擦ってから5分以上すると味が落ちるらしいので食べる直前にすりおろすのがよりおいしく食べるコツだそう。
完成したスパゲティを皿に盛ってすりおろしワサビの残り半量をのせていただきます。
『ゴマサバと醤油バタースパゲティ ~奥多摩ワサビを添えて~』
ワサビをからめて食べる。こりゃ文句なしにうまい!
調子に乗ってわさびを多めにつけて食べたら、思ってたより辛くてむせた。根っこ側は茎側よりだいぶ辛い。まことに爽快な辛さであった。
刻み海苔を加えるともっとよかっただろうな。なかったけど。
最後に失敗作を。
ある日の夜食。
余ってたミートソースに余ってた茎ワサビを入れてみた。
うっすらワサビの香りがするふつうのミートソースパスタという感じだった。
熱を入れたこととミートソースでワサビの香りや辛みがかき消されてこれはいまいちだった。おいしかったけど。
◆◆◆
ということで奥多摩のワサビをたっぷり堪能した10日間でございました。(途中から簡単に作れるスパゲティばかりになってしまったが)
写真は撮り忘れたけど、鯛アラでとった出汁をかけた鯛めしのお茶漬けを作り、これに擦りワサビをのせた食べ方もオツなもんでした。
奥多摩ワサビおいしかった!まっさんありがとう!
黒豚の清湯中華そばを作った
理想の中華そばを作る
「忘麺会」
それは年の暮れにスープを炊き、麺を打ち、ラーメンをこしらえ、神棚にお供えし、来年の五穀豊穣と皆の健康&ご多幸を神々にお祈り申し上げる儀式である。
その忘麺会を昨年末も実施したので今日はそのことを書いてみる。
ちなみに去年の忘麺会の様子はこんな感じだった。
まぁほんとは神棚なんて家にないし、特にお祈りも申し上げない。
ただただ酔っぱらって皆で麺をすする。そんな会である。
例年の忘麺会ではお手本となるラーメン店の味を真似るパターンが多かったが、昨年はファッキンコロナで食べ歩く回数が減ったこともあり、新たに真似したいラーメンには出会えなかった。
そこでシンプルに「今、食べたいラーメン」の味をイメージし、それを具現化してみることにした。
今、食べたいラーメンのイメージはこんな感じ。
・しょうゆラーメン。
・豚骨、鶏ガラが主体、コクはあるけどくどすぎないスープ
・煮干とカツオなどの魚介もふんわりと香らせたい
・麺はちぢれ麺
・具はメンマ、海苔、ナルト
シンプルでオーセンティックな中華そばである。
これが食いたい。
ということでつくっていく!
スープを炊く
まずは動物系の材料から始めよう。
これはハナマサでせしめてきた、豚ゲンコツ、若鶏ガラ、もみじ(鶏の脚)、各2kgだ。
まずゲンコツを20分ほど下茹でしてから寸胴に放り込む。
浄水8リットルでスタート。
ゲンコツを炊きつつ、その横で鶏がらとモミジの解凍、掃除する。
もみじは爪を切り、鶏がらは血合いとか内臓を取り洗う。
豚骨だけで3時間コトコトしたら、鶏ガラともみじも寸胴に投入。
浮いてきたアクと一緒に脂もぜんぶ掬い取る。脂はスープを一緒に長時間炊くと酸化して臭くなる気がするので、最近はぜんぶ掬い取る派である。
しばらく豚鶏だけでコトコト。
ずっと弱火でフツフツと細かい泡が浮いてくる状態をキープ。
2時間位してスープが減ってきたところで、昆布とドンコで半日水出ししておいた和出汁を2リットル投入。
続いて広瀬香味野菜投入。
香り、クサミ消し要員:ネギの青いトコ、ショウガ、ニンニク
甘味要員:人参、リンゴ
寸胴の横で中華鍋を熱し、おもむろに豚肩ロース1.2kgを焼き、
こいつも寸胴に投入。
「I 'll be back...」
豚は1時間半くらいしたら溶鉱炉から引き上げる。
そして後述する醤油ダレ1:スープ2で割ったチャダレにつけておく。ついでに茹で卵も一緒に漬け込むとよろし。
その後、スープのほうは3時間くらい炊いて、濾したら完成。
豚8時間、鶏5時間でできたスープは計7リットル。
弱火でじっくり炊いたが、もみじの含有量が多いのでやや白濁し、粘度が高いスープになった。
カエシ(醤油ダレ)
スープに合わせるカエシを作ろう。
昨年5月頃に作った鶏煮干し中華そばのカエシが気に入ったので同じような構成で。
みりん80ccを鍋で煮切り、森山勇助商店の二年熟成木桶醤油(濃口)150ccと、かめびしのにがり入り薄口醤油90cc、塩はシママース30g+ゲランド20g、純米酢20g、三温糖40g、乾燥ホタテちょっぴり、スープでも使った昆布とドンコで水出しした和だし300cc、10分くらい弱火でフツフツ。
最後に「おいしくなーれ」とおまじないをかけて、味の素を小さじ1加えてカエシは完成。
麺を打つ
年末だし在庫処理したかったので家にあまってた国産小麦粉2種類でうつことにした。
食べ比べできるよう2種類作る。
麺A:
はるゆたか450g
日清のうどん粉150g
小麦タンパク10g
加水率42%(塩7g、蒙古王かんすい5g)
麺B:
春よ恋400g
日清のうどん粉200g
小麦タンパク10g
加水率42%(塩7g、蒙古王かんすい5g)
パスタマシーンで3mmx2mm位で切って、縮れを入れる。
麺は完成。
メンマを戻す
乾燥メンマを戻す。
煮る、水を変えてまた煮る、を1日の間に4回繰り返したらいい感じのコリッコリ具合になる。
このいい感じのコリコリを中華鍋に放り込み、炒めて味をつけていく。味付け方法はメンマ屋さんのレシピを参考にさせてもらった。
いいかんじのコリッコリ。
ここにラー油をかけ、ビールで喉を潤しつつ、次の工程にうつっていく。
スープを仕上げる
手鍋に豚骨・鶏ガラスープをつかう分だけ取り、火にかける。
この鍋にスープ濾し器を重ねて、カツオ厚削り節と煮干し(頭をとったもの)を入れる。サバ節とかも入れたかったがなかった。
この状態で中火で15分くらい炊く。
ときどき「アチャーーアータタタタタ!お前はすでに死んでいる!」などと煮干を菜箸でつつくなどして崩して、魚介の香りと旨みをスープに溶かしこんでいく。
うむ。よい香り。
この「後入れ魚介方法」だと最後に香りを魚介の載せるので香りが飛ばず、無駄も少ない。これで魚介が香るスープが完成した!
香味油を作る
熱したスキレットにラードを溶かす。
ネギと煮干しの頭を投入し、アブラカタブラと唱えつつ10分くらい弱火にかける。
ジュンジュワーとラードに香りがうつったら香味油が完成。
話が長くなったね。ごめんね。
もう少しで完成だよ。
丼ぶりにカエシとスープを注ぎ、茹でた麺を泳がせ、いろいろとのせたら完成。
デーン。
うむ。
いいねー、じんわり美味いねー。
中華そばだねー。
と食べてもらった皆の反応もよかった。
が、個人的に改良点がいくつか。
チャーシューがモソモソだなー。
あとスープはちょっと甘かったなー。あまーい。そして醤油がちょっと重め。ノッソリする。わるくはないんだけど。もうちっとキリっとさせたい。
麺ももうちょい細めがいいなー。
麺は2種類打ったが、酔っ払ってどっちがどうとかは違いはわからなかった。
そんな感じの反省を残しつつ、2020の忘麺会は終わった。
つーことで年が明けて2021年。リベンジ。
麺も改良しよう。
ハルユタカ x うどん粉 4:1で、ちょっと細めに変更。
2mmx2mmくらいで切り、
2日寝かせて、軽く揉みしだいたらウェービーなチャンネーのパツキンが仕上がった。
もうゴキゲン。
2021年、チャーシューは「煮る」から「焼く」へ。
170度のオーブンで45分焼いてから鍋を火にかけつつチャダレを20分つけてしっとりと仕上げる。これでパサつきゼロ。
スープの改良点。
動物・魚介Wスープはボディがしっかりしていてよかった。香味油もそのままでよい。
しかしカエシ、お前はダメだ。森山の二年熟成木桶醤油とかめびしの組み合わせだと重いんだよ。なのでヒガシマルの薄口醤油を40%くらいカエシに加えて、甘みを押えてキリッとさせることにした。
という感じでテコ入れした2021年のブラッシュアップ版の中華そばが完成。
デーン。
なんということでしょう。
茶色くくすんでいた外観が、ユズの皮を加えることにより華やかになりました。
って、微妙に永福町に寄っていっているな。まぁあれが一番好きな中華そばなんだよなー。
つーことでキリといい感じに仕上がった。ピロピロ麺ともあう。かなり理想に近い仕上がり。
チャーシューも食感がしっとりして、うまみがしっかりしていてうめえ。チャーシューはやっぱ焼いてナンボだわ。
麺はやはり少し寝かしたほうがプリッとしてよい。
今日のMVPはメンマです。
「理想の中華そば」とまではいかないけどだいぶいい感じにはまとまったかな。
という感じで今年もぼちぼちラーメンを作っていく所存です。
お粗末さまでした。
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