牛頭馬頭

キッチンドランカーのほろ酔いレシピ帖

太ちぢれ麺の背油魚介中華そば

 

先週、久しぶりに麺を打ってラーメンを作った。

今回は太ちぢれ麺の背油魚介中華そば。

 

 

お手本は最近たべた南武線の平間にある「手打ち中華そば 酒田」のラーメン。

 

ここのラーメンは半濁した動物系スープに煮干しを中心とした魚介節の香りがふわっと効いた醤油味。

このスープに合わせるのは平たくちぢれ状の太麺だ。

 

これだけだと巷でよく見かける普通の中華そばのようにも聞こえるかもしれない。

しかし、あるトッピングを加えるとこのラーメンには覚醒する。

「身入り」と呼ばれる豚背油の塊をドバっとトッピングで乗せてもらうのだ(無料だ素敵だ)

背脂の甘みとオイリッシュマジックにより、スープは一気にジャンキーで荒々しい味わいに変容する。これがちぢれた太麺にめっちゃ合う。

自分はやらなかったが、さらに刻みニンニクを追加トッピングして楽しむ猛者もいるらしい。

 

お店のtwitterによると、このラーメンは山形は酒田にある「ケンチャンラーメン」という地元で人気があるラーメン店の味を模したスタイルとのこと。(ちなみに自分は食べたことはない食べたい)

 

とにかく麺とスープに「ラーメン二郎」にも通じるワイルドさが感じられて面白かった。

 

今回はこの一杯を真似て作ることにする。

 

カエシを作る

まずはカエシ。いわゆるラーメンタレ。

 

酒田のラーメンはスープの醤油の色や風味が薄めだったので、塩ダレ+醤油タレを組み合わせてみることにした。

 

まず塩ダレは塩カドを取るため3日前に仕込んでおく。

 

塩ダレの材料は、水900ml、塩130g、みりん50ml、薄口しょうゆ50ml、濃口しょうゆ15ml、酢15ml、砂糖10g、ハイミー5g、日高昆布少し。

 

塩は天海の平釜塩というのを使ってみた。

 

 

日高昆布を水900mlに30分につけ、火にかける。

途中、昆布からダシが出やすいようこまかくちぎった。

 

 

ふつふつしてきたら、昆布を取り出し、醤油、みりんを加えてさっとひと煮たちさせ、アルコールをとばす。塩を溶かたら火を止めて、酢、砂糖、ハイミーを加えてまぜて完成。

 

 

瓶につめて冷蔵庫で保管しておく。

 

続いてしょうゆダレを作る。

醤油はスーパーで見つけた「蔵のうまみ醤油」というのを使ってみた。小豆島にある「マルキン」というところの醤油らしい。なめてみると尖りが少ないまったりとした味である。

 

 

このしょうゆとタカラ本みりんを3:1で割り、鍋でひと煮立ちさせて完成。

シンプル。

 

 

この醤油ダレは煮豚の味付けにも使う。

 

麺をうつ

麺は、食べる当日の朝打った。

 

すすった時のゴワっとした小麦の存在感とツルモチっとした滑りのよさ、どちらも出したかったので二郎でも使われているという小麦粉「オーション」とうどん粉を7:3でミックスしてみる。

 

 

塩は天海の平釜塩、富沢商店のかんすいを使い、加水率34%で水まわし。

2mm位の厚さの麺帯にして4時間程寝かせた。

 

 

お昼寝から起こした麺帯をパスタマシンの4mm切り刃で平太麺にする。

その後、ぎゅうぎゅうと揉んだりつまんだりして「ちぢれ」を入れる。

 

 

うん、なかなかいい感じ。

 

スープを作る

スープは豚骨+鶏ガラ+こんぶ+魚介乾物(煮干し、魚節)で行く。

 

前日の晩から根昆布と煮干し(瀬戸内産の大羽サイズいりこ)約100gずつを鍋に放り込み水出ししておく。水は3リットルくらい。

 

 

当日、スープを炊いていく。 

まずは豚骨(拳骨1.5kg、背ガラ2kg)を下茹でする。

 

 

沸騰させて10分ほどしたらシンクにあけて、みずでゴミ血合いなどの洗い綺麗にする。

 

寸胴に洗った豚骨を入れ水6リットルをはり火にかける。

 

 

沸騰してしばらくするとアクがでてくるのでキレイに取る。

 

アクが落ち着いたら、ごみなどを取り除いて下処理した鶏がら2kgをドボン。

鶏ガラは下茹でせずワイルドにそのまま使用することにした。

 

 

その後は弱火~中火の間くらいをキープしクツクツと。

 

スープを炊いている横で煮豚の準備をしよう。

豚バラ1㎏をタコ糸でロール状に縛り上げてヤキを入れる。

 

 

スープにドボンと投入。 

 

 

続いて背油をやっつけていこう。

 

 

ハナマサで仕入れた背油。

一番少ないポーションを選んだが2kgもある。

でかい。多い。ファットボーイスリムならぬファットボーイファット。多すぎるので今回は半分だけつかうことにした。

 

こいつとネギの青い部分3本分、ニンニク一個小隊、ショウガのスライス適量、余っていた玉ねぎ半分をドドドドボン。

 

 

前日に仕込んどいた水だし昆布水2リットル&戻った昆布も追加。(煮干しはまだ待機)

クツクツ。

 

 

青ネギは黄色くなってきたところで取り除く。

こんぶも1時間くらいで引き上げる。

 

背油は2時間くらい茹でるとはんぺん状に。

 

 

はしでつまむとプルンプルンのプルプルプルデンシャル元生命。命をおいしくいただきます。

 

背油は油搾取用に少しだけスープ側に残し、別鍋にうつし砕いておく。

 

 

豚バラも2時間ほど炊いたら引き上げ、前述の醤油ダレに1.5時間ほどつけて味を入れる。ついでにゆで卵もこのタレにつけて味玉も作る。

 

 

背油と豚と青ネギを上げたら、残りの水出し昆布ダシ水と煮干しをドボン。

煮干しは一番風呂に入れちゃうと香りが飛んでしまうので最後の方にドボンするのです。

 

 

煮干しを入れて30分後、節系を投入。

知り合いからお土産でもらった「職人だし」。うまそげ。

 

 

このブログを書きながら中身を調べてみると「いわしのふし、さばのふし」だそうです。

 

って、かつお節が入ってなかったのか。

入ってなかったことにいま書いてて気づいた。

まぁいいんだ、魚介が感じられれば。

 

この節をざばっと150gほど投入。

 

 

節を入れて30分程したらスープ完成。

計5時間程炊いた。

 

茶濁している。いい感じ。

 

 

濾してこの日使う分だけ別鍋にとったら、残りはスープストックにするので冷やして冷凍庫で保存。 (すぐに冷やすと魚介の香りが飛ばない)

 

仕上げる

あたためた丼にカエシ(塩だれ+醤油ダレを半々)と刻みネギを放り込んで、スープ+背油を注ぐ。

 

 

脂すごいな。

 

麺は2分半ゆでて湯を切り、スープに泳がせる。

 

トッピングとして煮豚、煮卵、ネギ、海苔、メンマ(これは買ってきた瓶詰のやつ)、そして背油をのせる。

 

 

完成!

 

麺をリフトアップ。

 

 

太ちぢれ麺をすすり、続けてスープを飲む。

背油の力強いワンドロップがガツンとくる。

 

麺をかみしめる度に、リズミカルなちぢれの波形が口内で背脂とぶつかり合い、ワイルドなミリタントビートを紡ぎだす。そこに豚と鶏と塩と醤油と魚介と昆布が奏でるポリリズムが共鳴する。

 

うめえ!

 

 

お手本だった酒田とはちょっと違う味わいになったが、これはこれでうまい。

 

買ってきたメンマがなぜかこのスープにあっててウマかった。

 

家族と遊びに来ていた友人に食わせた反応もおおむねよかった。

 

 

いくつか反省点を。

うまかったけど油っぽすぎだった。これは背油を入れ過ぎだ。

ストロングスタイルが過ぎた。胸焼けした。

 

煮豚はハズレ肉をひいたようで脂ばっかりだった。胸焼けした。

豚バラじゃなくてモモとか肩でもよかったかもしれない。

 

あと醤油の風味と煮干しをもっと立たせた方がよかった。

逆に昆布は多すぎたかな。

 

 

麺がだいぶ余っていたので翌日もラーメン。

あっさり食べたかったので前日つくったスープは使わず、出汁パックのみを水から煮てとったダシを使うことにした。

 

こいつをカエシと合わせて完成。

 

油はなし。胸焼けするから。

代わりに煮豚を刻んでダシに入れて少し煮込んだ。

 

 

こーんな適当なスープでうまいわけないだろー。

 

と自分でツッコミを入れつつ食べ始めたら、

 

 

 

アレ?

 

じんわりうまい。

 

過剰な脂や香りがないぶん、逆に麺の風味を感じられる。

 

どことなく佐野ラーメンっぽいっつーか。

これはこれでアリだなーとうなってしまった。

 

引き算も大事さに気づいた初夏でした。

 

お粗末様でした。

 

 

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